地方に住んでいる通訳案内士の可能性を広げる

鈴木孝枝さん(2010年合格 英語)

概要

 最近の来日旅行者の傾向として、本物志向、体験志向があげられるが、地方にはそのようなニーズにこたえる観光資源があります。

 

 例えば、中京地域には、伊勢神宮、名古屋城、飛騨の森林、合掌造り、真珠養殖、トヨタなどがある。それをどんなガイディングにまとめるかは各人次第であるが、神道・産業・建築などのガイドや、茶道や相撲などの日本文化を説明していくには、それぞれに忘れてはならないコアとなる認識、本質的な理解力を、自分のものに落とし込む必要があります。

 

 それまで、ずっとぼんやりしていた視界がクリヤーになって方向が見えてきたのはIJCEEの研修のおかげであった。しかも必要に応じ随時実施され、現場直結型なのでまったく無駄がない。だからこそ自分自身にあった、自分にしかできないことを極めるため、これからもより一層の自己研鑽に励みたいと思います。

全文

True Japan とガイドの可能性と発展を求めて

 地方に住んでいる通訳案内士にとって関東・関西新人研修メインスポットの研修は出たけれど実際その現場にでる機会はめったにない。たまに都市圏に出てもアウェイ感でいまいちしっくりこない。また様々な生活上の理由でフルタイムのガイド業は難しいということもあるだろう。私の場合親の介護だったが、それでもできる限りの時間で名古屋市内、三重 岐阜などのガイド通訳の仕事をすることでなんとなくこんなものかなと思っていた。そんな時IJCEEのことを高野山研修に参加した知人から聞き、早速問い合わせると、なんと中京・北陸にスポットを当てた研修を実施するという。そして将来の観光コースとして組み込む予定という。この明るい展望に興奮するも地元ながら海外旅行者にとって魅力ある観光資源がここ中京地区にあるのだろうかと改めて見直した。

足元にこんな宝が!

 

 まず歴史からいえばこの地は神代に時代から神道の八百万の神のトップを主祭神とした伊勢神宮、3種の神器の一つを御魂代とした熱田神宮。さらに織田信長、豊臣秀吉、徳川家康と日本史上最も重要な3人もこの地が生み出し、逸話も数多い。名古屋城はその文化的価値、城郭建築の歴史的意義から国宝第一号であったし、ナマコ壁の残る絞りの町有松には人間国宝が伝統技術を伝える。

 

 世界遺産の指定以来一番人気の飛騨地方では美しい山間部の自然と合掌造りのとの見事な調和に心が和む。かつての真珠養殖のメッカ志摩半島は里海再生プロジェクトで干潟再生・海女さん活用など新しい時代に入っている。いずれも自然との共生をテーマにした観光スタイルである。

中京地区でいえばものづくり、その筆頭は世界のトヨタの創業者豊田佐吉の自動織機発明のルーツは江戸時代よりこの地域で盛んなからくり人形であるが、トヨタ方式などその発展を支えるのは古くから盛んな窯業、繊維業などとの密接な連携である。機械工業では新幹線の工場、国産初の旅客ジェット機MRJの生産拠点まである。

 

 ざっとあげただけでもこれだけある。つまりここを訪れれば、日本の歴史と伝統、最先端産業とそれを支える日本のものづくりの心、豊かな自然、自然との共生の知恵がすべて堪能できるのである。なるほどこのことであったのか。改めてIJCEEの先見の明と実行力に感動した。

日本文化の本質を語るIJCEEの研修と強力バックアップIJCEEの研修は講師がその道の第一人者で、質・量とともにレベルが高い。それをどんなガイディングにまとめるかは各人次第であるが 茶道にしても相撲にしても文化を語るに忘れてはならないコアとなる認識があり、ガイド内容を自分のものに落とし込むにはその理解が欠かせない。ずっとぼんやりしていた視界がクリヤーになって方向が見えてきたのはIJCEEの研修のおかげであった。しかも必要に応じ随時実施され、現場直結型なのでまったく無駄がない。

 

 特に中京を含めたツアーや名古屋場所相撲朝稽古ツアーではガイドとしての新たな発見と可能性を見出すことができた。また研修を通じて仲間との情報交換、励ましあいネットワークもひろがった。またスタッフも同じ理解でバックアップしてくださるのは現場に出れば孤独な戦いのガイドにとっては非常に心強い。

 

To the next stage

 最近の来日旅行者の傾向として、初来日、リピーターとも本物志向、体験志向であげられるという。地方にはそのようなニーズにこたえる大きなポテンシャルがあり、産業観光の振興とともに旅行者が増えている。通訳ガイドの仕事のスタイルは多様で,大変個性的でクリエイティブであると思う。だからこそ自分自身にあった 自分にしかできないことを極めるためこれからもより一層の自己研鑽に励み、旅行者の満足度の高い観光地域として発展の一翼を担えたらと思う。